共同墓地の入会権としての性格

さくら行政書士事務所

共同墓地の入会権としての性格について

このページでは、地域の共同墓地、村墓地、集落墓地について、入会権である法的性格について検討しています。

共同墓地で改葬、墓じまいを行う場合には入会権について正確に把握することが重要となります。

このポイントについて詳細にご説明しているページです。

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入会権とは

※民法上の専門的な内容が中心のブロックになります。
難読であると感じられた方は、次の四角いブロックまで飛ばしてお読みいただいても構いません。

入会権の定義

入会権とは、一定の地域の住民集団(入会団体)が山林原野など(入会地)を共同で利用する慣習上の物権であると定義されています。

「入会権」と書いて、「いりあいけん」と読みます。

民法における入会権

民法は、共有の性質を有する入会権(民法263条)と、共有の性質を有しない入会権を認めています(民法294条)。

民法263条に定める共有の性質を有する入会権は、入会地を入会権者が共有(総有)する場合です。

民法294条に定める共有の性質を有しない入会権は、第三者が入会地を所有し、入会権者はその用益権能のみを準共有(総有)する場合です。
これは、用益物権の1つに位置づけられます。

このように民法上の位置づけがある入会権ですが、主として土地利用にかかる権利関係の近代化・明確化の要請から、現在では解体の過程にあると言われています。

民法における入会権の内容

入会権者は、慣習と入会団体の規約に従って、採草や採薪や造林などのために入会地を共同して使用・収益することができるとされています。

地域の共同墓地、村落の共同墓地、集合墓地もこの入会権の内容として使用することができると説明されていることも多いです。

この、民法における入会権の内容は「個別的利用形態」と「団体的利用形態」のさらに2つに区分して説明されます。

入会権の個別的利用形態

入会権の個別的利用形態は、入会地を直接利用するのが個々の入会権者である場合を言います。

この、入会権の個別的利用形態はさらに緻密に区分され、「共同利用形態」と「分割利用形態」ののさらに2つに区分して説明されます。

入会権の共同利用形態

入会権の共同利用形態は、入会権者が入会団体の規制の下で共同して入会地に立ち入り、個別に利用するという形態です。

この形態は、まさに入会権の古典的形態であり、最も基本的な形態と言えると解されます。

入会権の分割利用形態

この形態は、各入会権者に入会地の一部が割り当てられ、入会権者がそれを独占的に利用する形態です。

地域の共同墓地、村落の共同墓地、集合墓地もこの入会権の内容として使用することができると説明されていることも多いです。

入会権の団体的利用形態

入会権の団体的利用形態は、入会地を直接利用するのが入会団体である場合を言います。

この、入会権の団体的利用形態もさらに緻密に区分され、「直接利用形態」と「契約利用形態」ののさらに2つに区分して説明されます。

入会権の直接利用形態

入会団体が入会地を独占的に利用し、収益を得る形態です。

たとえば、入会団体が造林などの事業を行い、産物などを収取する場合です。

入会権の契約利用形態

入会団体が第三者に契約によって入会地の利用を認め、入会団体が収益を得る形態です。

たとえば、第三者が入会地で別荘地やゴルフ場の経営を行って、入会団体が収益を得る場合です。

この形式で設置された地域の共同墓地、村落の共同墓地、集合墓地もありえます。

たとえば、寺院が入会地で墓地の経営、運営を行って、入会団体が収益を得る場合です。

もちろん、このパターンでは寺院の設置墓地との表面上の差異は極めて曖昧化され、入会権に基づく利用であることが忘れ去られてしまっている場合もあるほどです。

共同墓地と入会権の性格のまとめ

以上のように、民法上、入会権はその性格や利用法によって細かく分類されて整理されています。

ひとまず、地域の共同墓地、村落の共同墓地、集合墓地の観点で見て場合、共同墓地の入会権としての性格は主に2つに分類されることになります。

共同墓地の入会権としての性格1~入会権の分割利用形態

各入会権者に入会地の一部が割り当てられ、入会権者がそれを独占的に利用する形態です。

つまり、各入会権者に、入会地の一部として墓地の区画、墳墓の区画が割り当てられて、それぞれの入会権者はその割り当てられた入会地の一部として墓地の区画、墳墓の区画を独占的に利用する形態です。

実際の運用上、地域の共同墓地、村落の共同墓地、集合墓地としては、この法律形態で行われているところが多数であろうと考えられます。

共同墓地の入会権としての性格2~入会権の契約利用形態

入会団体が第三者に契約によって入会地の利用を認め、入会団体が収益を得る形態です。

つまり、入会団体と寺院や霊園が契約を行い、入会地で墓地や霊園の経営、運営を行って、入会団体が収益を得る場合です。

実際の運用上、地域の共同墓地、村落の共同墓地、集合墓地としては、この法律形態で行われている事例も少なくありません。

共同墓地で、改葬、墓じまいを行う場合のポイント

以上のように、地域の共同墓地、村落の共同墓地、集合墓地といっても様式は単一ではなく、主に2つの法律形態があることとなります。

このどちらの法律形態をとっているかによって、地域の共同墓地、村落の共同墓地、集合墓地の改葬、墓じまいを進める場合の手順や必要条件は大きく異なることになります。

地域の共同墓地、村落の共同墓地、集合墓地の改葬、墓じまいを行う際には民法上の入会権の規定に配慮し、どの法律形態によるお墓なのかを正確に把握することが重要となります。

この正確な把握がない場合、改葬や墓じまいがうまくいかなかったり、後々のトラブルの原因となる場合もあります。

ここが重要なポイントです。

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事務所サイトの開設日:2006年9月3日
このページの公開日:2014年8月18日
このページの最終更新日:2019年3月3日

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