さくら行政書士事務所
このページでは、改葬、墓じまいを行う場合に必要となる改葬許可証について、いつの時点までに改葬許可証を取得していなければならないのか、改葬許可証の必要時期についてを説明しています。
改葬許可証は、いつ必要となるものなのでしょうか。
法律解釈論を詳細に論じているページです。
改葬、墓じまい、お墓の移転、引っ越しや整理、無縁墳墓改葬の代理、代行を主要な業務とする専門の行政書士事務所です。
改葬許可申請などの法律上の手続き、手配はもちろん、行政機関との交渉もお手伝いいたします。
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墓じまいを行い、ご遺骨を他のお墓や納骨堂に改葬する場合は改葬許可証が必要となります。
では、この改葬許可証は、どの時点で必要となるのでしょうか。
現在のお墓・納骨堂からのご遺骨の取り出しの時でしょうか、新しいお墓・納骨堂でのご遺骨のご納骨の時でしょうか。
改葬、墓じまいについては、多数の申請や手続き、段取りが必要となりますが、ご遺骨についての実際の作業は大きく2つに分けることができます。
まずは、改葬元のお墓、墓じまいする現在のお墓や納骨堂からご遺骨を取り出す作業が必要となります。
ここで取り出したご遺骨を、改葬先のお墓や、改葬先の納骨堂に移送することとなります。
新しいお墓や納骨堂に移送したご遺骨を、改葬先のお墓や納骨堂で納めること、つまりご納骨することとなります。
改葬、墓じまいについては、多数の申請や手続き、段取りが必要となりますが、ご遺骨についての実際の作業は大きく2つにまとめることができます。
この他、土葬されたご遺骨の改葬の場合には火葬しなおす申請や手続き、段取りが必要となります。
また、ご遺骨を粉骨する、パウダー化する手配や作業が必要となる場合があります。
これらについては別記事でご説明することとし、この記事では主要となる2つの作業について検討します。
墓じまいをして改葬をするためには、改葬許可証が必要となりますが、では、どの時点で必要になるのでしょうか。
上記でご説明申し上げたとおり、ご遺骨の作業は「改葬元でのご遺骨の取り出し」と「改葬先でのご納骨」の2つですので、理論的に考えられるタイミングも2つしかないことになります。
以下では、この2つの見解についてご説明します。
1つ目の見解は、「改葬元でのご遺骨の取り出し」の前に改葬許可証が必要であるとする見解です。
この見解によれば、改葬許可申請をして、改葬許可証を得た後でなければ、改葬元でのご遺骨の取り出しを行うことはできない、とする見解につながることになります。
2つ目の見解は、「改葬先でのご納骨」に際して改葬許可証が必要であるとする見解です。
言い換えれば、「改葬先でのご納骨」の際に改葬許可証があればいい、とする見解です。
この見解によれば、改葬許可証を得る前でも改葬元でのご遺骨の取り出しやご遺骨の移送はできるが、改葬許可証を得ていなければ改葬先でのご納骨はできないとする見解につながることになります。
では、上記の2つのうち、どちらの見解の方が妥当なのでしょうか。
この点、墓地、埋葬等に関する法律(墓地埋葬法、墓埋法、などと略称で呼ばれることもあります)第14条が規定しています。
なお、墓地、埋葬等に関する法律第14条に違反した場合には、同法の第21条で罰則を科される場合もあります。
このように、墓地、埋葬等に関する法律第14条は、改葬先のお墓や納骨堂の管理者に対して、改葬許可証を受理した後でなければ、ご遺骨のご納骨をさせてはならない旨の義務を課しています。
他方、墓じまいする改葬元のお墓や納骨堂の管理者に対して、改葬許可証を確認した後でなければ、ご遺骨の出骨、ご遺骨の取り出しをさせてはならない旨の規定は見当たりません。
この墓地、埋葬等に関する法律の規定によれば、改葬許可申請をして、改葬許可証を得る前でも改葬元でのご遺骨の取り出しやご遺骨の移送はできるが、改葬許可証を得ていなければ改葬先でのご納骨はできない、とする、上記の2番の見解が法律上妥当であることとなります。
法律上、改葬許可証を得る前でも改葬元でのご遺骨の取り出しやご遺骨の移送はできることとなります。
しかし、改葬許可証を得ていなければ改葬先でのご納骨はできません。
法律学は解釈の学問ですので、他の解釈が主張される場合もあります。
例えば、「墓じまいする改葬元でのご遺骨の取り出しと、新しいお墓や納骨堂の改葬先でのご納骨とを二つに区分せず、一連の行為を一体と見て、墓じまいする改葬元でのご遺骨の取り出しの時点で改葬許可証が必要である。」とする法律解釈も成立するところです。
改葬という行為を、「改葬元でのご遺骨の取り出し」と「改葬先に移送してご納骨する」という二つの行為の集合体と解釈するか、「改葬元でのご遺骨の取り出して、移送してご納骨する」という一連の一つの行為と解釈するか、で見解も変わってくるところです。
一部で異論はあるものの、このように、法律上は、改葬許可申請をして、改葬許可証を得る前でも改葬元でのご遺骨の取り出しやご遺骨の移送はできるが、改葬許可証を得ていなければ改葬先でのご納骨はできないというものでした。
しかし、これとは別の墓地管理規則が定められている場合や、自治体が行政指導を行っている事例もあります。
墓じまいする改葬元のお墓や納骨堂からご遺骨を取り出すのに先立って、予め改葬許可を得ておかないとする墓地管理規則や霊園管理規則、納骨堂管理規則を定めて運営している墓地や納骨堂もあります。
この場合は、民法上の私的自治の原則から、墓地、埋葬等に関する法律の規定よりも墓地管理規則や霊園管理規則、納骨堂管理規則の効力が優先すると考えられますので、墓じまいする改葬元でのご遺骨の取り出しの時点で改葬許可証が必要であることとなります。
このような場合は、改葬許可申請をして、改葬許可を得てからご遺骨の取り出しを行うべきこととなると考えられます。
墓じまいする改葬元のお墓や納骨堂がある自治体によっては、墓じまいする改葬元のお墓や納骨堂からご遺骨を取り出すのに先立って、予め改葬許可を得て改葬許可証を取得する旨の行政指導を行っているところもあります。
この行政指導に従えば、改葬許可申請をして、改葬許可を得てからご遺骨の取り出しを行うべきこととなると考えられます。
しかし、行政指導は法律上の強制力はありません。あくまでも任意に行われるものです(行政手続法第32条)。
ですので、改葬許可申請をして、改葬許可を得てからご遺骨の取り出しを行う行政指導に従うかどうかは申請者の任意によって決められるものです。
もちろん、行政指導に常に従わないのが良いというものでもありませんので、問題がなければ、行政指導に従って改葬許可申請をして、改葬許可を得てからご遺骨の取り出しを行うのもよいのではないかと考えられます。
以上のように、個別の事案によって変化しますので一概に申し上げることは困難ですが、あくまでも一般論としては、改葬許可証を得る前でも改葬元でのご遺骨の取り出しやご遺骨の移送はできるが、改葬許可証を得ていなければ改葬先でのご納骨はできないということになります。
墓じまいする改葬元のお墓や納骨堂からご遺骨を取り出す時点では改葬許可証は必要はなく、改葬先にご納骨するときに改葬許可証を得ておけばいいということになります。
一般論ではありますが、改葬許可証の必要時期は、墓じまいする改葬元のお墓や納骨堂からご遺骨を取り出す時点ではなく、改葬先にご納骨するときであることとなります。
ただし、研究者によっては違う解釈がなされる場合もございます。
また、お寺や霊園など、それぞれの墓地管理規則や霊園管理規則などで、これとは違う旨の定めがある場合もございます。
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事務所サイトの開設日:2006年9月3日
このページの公開日:2014年8月18日
このページの最終更新日:2019年3月3日
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